発音が悪いから英会話が通じないと思ってませんか?
あなたが英会話を学んだ経験があれば、一度は発音について苦労したり、悩んだり、努力したことがあるでしょう。これは文法も発音も全然異なる言語を学んでいるのだから当然苦労する部分だと思います。
そして、あなたが英語でうまく会話ができていれば良いのですが、できていなかったら、聴き取りの問題だろうか、語彙力の問題だろうか、文法の問題だろうか、発音の問題だろうかと色々悩まされるでしょう。こちらから話したことが先生に通じなかったりすれば、自分の発音が悪かったのではないかと悩むことでしょう。
日本で英会話の先生をしているネイティブスピーカーは、経験が浅いうちは日本人独特の発音がうまく聞き取れないことも多いですが、彼らも日本人の相手をするうちに『日本人英語』を学ぶので、国内で英会話を習うときには、ネイティブの先生の方はだいたい日本人の英語も分かってくれるものだと安心して良いと思います。もちろん発音に関して注意してくれるでしょうけど、発音が少々悪くても向こうがなんとか頑張って理解してくれます。相手も客商売ですし、CS(Customer Satisfaction 顧客満足)のためには、英語圏では通用しないようなレベルの英語でも頑張って聴き取って相手をしてくれます。
問題は実際に海外に出たときです。国際空港、観光地の土産物屋、ホテルなどでは英語が下手な外人の相手にも慣れていますが、外人の下手な英語に慣れていない人たちには、英語の発音が悪いと本当に通じないことがありますし、露骨にバカにされることだってあります。私も急に海外出張を命じられて初めてアメリカに行って向こうのエンジニアと話したときには、下手な英語にも優しく相手をしてくれたドイツ系アメリカ人と、「こいつなに言ってんのか全然わんかんねえよ」って態度で接してくれたフランス系アメリカ人がいて、世の中こういうものだと思いました。
もし正しい発音ができてたら通じるか?
それならあなたが正しい語彙、正しい文法で正しいアメリカ式英語の発音で話せば、一般的なアメリカ人は理解してくれるかと言うと、これも難しい話です。理解してくれる場合もあれば、いくら相手に通じるはずの英語を話せてたとしても相手にしてもらえない場合はありえます。それが、今回紹介したい研究論文 Scott Perry 『Research in Japanese pronunciation& perception 日本人が話す英語の発音に偏見の壁日本人が直面する不当なコミュニケーション差別の実態 (2008)』です。あなたがいわゆる日本人顔、つまり黄色人種のアジア人顔をしていること自体があなたの『発音』に影響しているのかもしれません。
だいぶ前に書かれたものですが、今でもそれほど変わっていないと思います。実際にこの論文を昔見たときにはそれほどこういう話を聞いたことはありませんでしたが、YouTubeで発信する人が増えてくると、英語圏で生まれて完璧に英語を第一言語として育った日本人や日系人が現地で『お前の発音はなに言ってるかわからない』とバカにされた経験を語っているのを見かけるようになりました。もちろん彼らは完璧な英語の発音で話しているにも関わらず、お前の発音はおかしいと言われているのです。アジア系の顔だからという理由で。
それは人種差別?
『偏見』だとは思います。でも、英語圏に限らず欧米社会ではアジア人を見下すことをあまり差別だと意識していないと思います。多くのネイティブスピーカーは、あなたが正しい発音で話せば聴き取ってくれるでしょうけど、一部の偏見の強い人達はいくら正しい発音で話しても『そんな発音じゃわからない』と取り合ってくれないこともあるでしょう。どうせ、自分を変えることはできても多数の他人を変えるのは簡単ではありませんし、事実を事実と認識して、自分ができることをするしか無いと思います。
それでも発音矯正に意味はあるのか?
そうであっても、英語の発音をある程度直しておくのは意味があると思います。偏見や人種差別以前の段階で、多くの日本人の英語の発音は直す余地が大きいからです。ネイティブスピーカーにとって、方言や訛りの範囲と思ってもらえる程度なら良いのですが、それに届かないうちは頑張ってみて、こちらの非がないと言える程度の発音になってからそこから先を考えれば良い話だと思います。
そういう偏見の強い人と関わらないといけない場面に出くわしたのなら、「報われない努力もある」と思えばいいし、報われなくても努力には価値があります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。