遠田和子『Google英文ライティング 英語がどんどん書けるようになる本』(講談社インターナショナル、2009)
この本を読む以前から、自分自身英文を書くときにはGoogle検索で参考になる英文を探してネイティブ英文の真似をしながら書いていたので、プロの翻訳家が体系的に上手な検索の仕方を案内してくれる内容にはとても惹かれました
この本を読む以前に検索で助かった体験
前職で先輩の技術者が使っていたある半導体に関係するカタカナ用語の用法が、いかにも英語でそう言いそうな気もするんだけど確信が持てないというくらいの、微妙な表現だったことがあり、自分はそちらが専門ではなかったので英文でのその方面の専門書を読んだこともなく、気になっていたことがありました。たまたま海外出張でその辺りに関係することを向こうで説明してくる用事ができて、事前に説明用の資料を作るときに、Googleの検索で本当に英語圏でそういう言葉使いしているのかチェックすることができて、相手にも割と分かりやすい言葉で資料が作れたことがありました。
それ以来、自分は英文の資料を作らないといけない場合は先に日本語を書いて英訳するよりは、書きたい内容に近い分野の文章を検索で探して、使用頻度が高く、適切な動詞が何か確認したりするようになりました。主に技術系の文章だから比較的やりやすかったのだと思います。
英会話で良く使う勉強法と似てる?
英会話などは、ネイティブが実際に使うフレーズを覚えて真似をして使うという勉強法をする人も多いと思います。本やCDがお手本だったり、ドラマや映画をお手本にする人もいるでしょう。ネイティブの表現を真似するという意味では、Google検索を利用してネイティブの文章を探してくるというのは、お手本の入手方法が違うだけで、ネイティブを真似るという部分は似通ってると思います。その上、この本には上手に検索する方法や、検索結果の解釈の仕方なども解説されてて、とても使いやすくなっています。
本の構成
- Googleの使い方
- 英文チェックの簡単テクニック
- ウェブをネイティブ・チェックに使う
- オフラインでも明快な英語を書く
どれも重要なのですが、個人的には②英文チェックの簡単テクニックと③ウェブをネイティブ・チェックに使うが特に役立ったと思います。どのようなChapterがあるか紹介しますと、
②英文チェックの簡単テクニック
- ぴったりの前置詞を探す-もう迷わなくて大丈夫
- ふさわしい動詞の見つけ方-日本語からは思いつかない英語の動詞
- 的確な形容詞や福祉を探す-しっくりする単語がわかる
- 紙の辞書に載っていない言葉を探す-ひとひねりで意外と出てくる
③ウェブをネイティブ・チェックに使う
- とにかく書いた英語を検索してみる-何も一致しないときだってある
- 辞書の単語は本当に使えるのか-文脈からのアプローチ
になります。人によって違うと思いますが、私は特に動詞に何を使うのかに迷って検索に頼ることが多いです。
オンラインだからこそ注意しないといけないこと
本の内容から離れますが、自分なりにネットの検索を利用してみて感じたことをいくつか紹介してみます。
その英文は誰が書いたの?
検索語の組合せが悪いと、日本語からの英訳ばかりが出てくる場合もあります。これは技術関係だと特にそうなりやすいと思いますが、日本人が書いた特許の海外出願のために英訳した文章ばかりがヒットすることなどがあります。おそらく日本人が思いつきやすい英単語の組合せ同士なのでそうなるのだと思いますが、そのようなときはおそらく、ネイティブだと実際には使用しないような単語の組合せで検索してしまってるのだと思います。特許文献以外にも、日本の団体のサイトの英語版や機械翻訳で作ったページなどが多くヒットする場合は注意が必要です。それらが間違えているという意味ではなく、ネイティブの書いた表現を探したいから検索を使っているという意味において望んだ検索結果ではないという意味です。
ネットスラングなどによる汚染
真面目な文章ばかりをお手本にする場合はまず問題ないと思いますが、日常的な表現を探そうとしてくだけた文章を探してると、口語では使わないネットスラングに引っかかる可能性があります。本に紹介されているようにヒット数を目安にするなども参考にしながら適切な表現を探す必要があると思います。AIの機械学習でも、ネット上で流行ってた独特の用法を間違って学習することがあるそうですし、なかなか難しい問題かもしれません。
オンライン上に大量の情報があり、そこから検索して得られる知識は非常に有益です。でも、使い方を間違わないように気をつけないといけません。だから、こういう本を頼りに自分なりの上手な使い方を作り上げていきましょう。