スコット・ペリー『スクランブルエッグ 2分間英語脳トレーニング』(2011)フォレスト出版
スコット先生が日本の学校で英語を教えていたときに思いついたとうかがってます。与えられた単語だけでいくつの英文ができるか数を競います。小中学生がやるとすごく良い訓練になると思います。楽しいし。
大人が子供に負ける
英語のトレーニングのためのゲームです。これをセミナーなどで体験したことがある人は分かると思うのですが、最初は大人で相当真剣に英語を勉強してきた人でも、小学生や中学生に負けてしまうことが良くあります。学習、トレーニングとはいえゲーム的なところもあるので、繰返してやってればコツを掴んできて点数は伸びてくるのですが、そうだとしても例え初回だからといって、長い間英語を勉強してきた人が簡単に初学者に負けるのでしょうか?それが、割と簡単に負けてしまうのがこのゲームの一番重要なところで、日本人が英会話が苦手な原因と関係しています。その苦手を克服するためのゲームであり、トレーニングであるのがこの本に書かれているスクランブルエッグです。Scrambled Eggじゃないのかというツッコミあるかもしれませんが、英文ではそう書かれていて、カタカナでは由緒正しい(?)日本式カタカナ外来語で「スクランブルエッグ」です。
どんなゲーム?
- タマゴ型の枠に囲まれた中に約10個の単語(ピリオドや感嘆符、疑問符なども含まれる)が書かれています
- 英文を作るために上記のものだけを使うことができます
- 制限時間は2分です
- 制限時間内にできるだけ多くの英文を作成します
- 作成した英文で、『正しい英文』の個数が得点になります
詳しくは本を御覧ください。他人と比較するときは得点で勝敗を決します。ルールは比較的簡単です。このルールで英語の初学者が中級者以上に、本当に勝てるのでしょうか?個人差はもちろんあるので、中には高得点を出す初心者もいるのでしょうが…と思うくらいシンプルなルールで、英語力がある方が有利に見えます。
少ない語彙で話す訓練につながる
実は、このゲームは小さな子供が少ない語彙を駆使して話そうとするのを模しているそうです。大人は語彙が多いので、いつでも比較的適切な言葉を自分の知識の中から選ぶことができますが、語彙が少ない小さな子供は知ってる単語の組合せでしか話せません。これは、与えられた単語(記号も含む)だけという制限を加えることで、その少ない語彙でできるだけたくさんの表現をする訓練です。
制限時間をつけて数を競わせることで、瞬発力を上げて、戸惑わずにすぐにアウトプットすることも求められます。だから、これが英語を話す訓練になるのです。
なぜ子供が勝てるのか
あまり種明かしし過ぎるのも良くないのですが、要するに大人は『まともに意味が通った、普通に使うことのある英文』を作ろうとして時間内にそれほどの数を作れないようです。そもそも、いきなりルールだけを教えられてこのゲームをすると、熱心な英語学習者でも2分経たないうちに新しい英文を思いつかなくなる場合がほとんどです。中には柔軟な思考のできる大人もいて、その人達は子供ともいい勝負ができます。
発想を柔軟にすると、2分の間にペンや鉛筆の止まる暇はありません。思いつく英文を2分の間には書ききれないので、書く速さの勝負ではないかと思うようになってきます。なぜなら、英語ならどんなナンセンスな英文でも構わないんです。そういう勝負なら子供の自由な発想がたいていの大人を上回ります。
コツさえ掴めば
この本を読んで半日も練習すれば、あなたもすぐにスクランブルエッグが上達すると思います。そして英会話で言葉が出にくかった人は、英文の質を気にしなければ、最初の一言を話す瞬発力が上がることでしょう。もっとも、きれいな英語で話すためには別の地道な訓練が必要になるのでしょうが、そうであっても、まずは英会話がしやすくなるという経験は出来ると思います。
知ってる人たちが出会うと
英語のセミナーやイベントなどでスクランブルエッグを知ってる人たちと一緒にそのまま居酒屋などに行くと、そこでは結構みんながふざけて”Beer drinks Tom.”とか、ナンセンスな英語をお互い言い合ってます。結構楽しい。多分、日本人の英語学習にはもっと笑いや息抜き、不真面目さが必要ではないかと。皆が英語に対して真剣な訳ではないんですが、真剣でない人でもそれなりに英語に慣れ親しむことが出来るんだと気楽でいたいものです。
最後までお読み頂きありがとうございました。