英語以外の欧州語を学んだことのある人は、ほぼ綴り(スペル)の通りに発音する言語が普通にあることを知っているかもしれません。元々アルファベットは表音文字ですので、綴りは音に合わせて書かれていたはずですし、文字の並びで音の並びを表してるはずなのですが、英語はなぜ発音と綴り(スペル)がこんなにも違うのでしょうか?
イングランドでは1400年代初頭から1600年代前半にかけて大母音推移(Great Vowel Shift)と呼ばれる母音が大きく変わる現象が起きました。それ以前はほぼスペルの通りに発音されていたらしいと推測されているのですが、わずか200~300年という比較的短期間に母音の発音がすっかり変わってしまいました。特に長母音が目立って変化しています。数世代~十数世代にも渡った期間ですので、人の一生からすれば十分に長い時間をかけたのですが、それでもこれだけ発音が急変するのは不思議な現象で、原因は未だに特定されていません。
- 死病(ペスト)のパンデミック後に大きな人口移動が起きてアクセントが混ざった
- 黒死病(ペスト)のパンデミックで知識階級が多く死んだ後に下層階級の発音が表に出てきた
- フランス語が外来語として大量に入ってきた影響
- 中産階級がフランス語の発音を不正確に模倣した
- フランスとの戦争で半仏感情が高まり、フランス語に聞こえないように過剰修正
などが挙げられていますが、決め手となる原因には絞られていないようです。複合要因なのかもしれません。
原因は謎のままなのですが、確かに起こったことは事実なので、我々非英語圏の人間が英語を学ぶときに不幸を招いています。英語圏の子どもはフォニックス(Phonics)でスペルと発音の関係を身に付けますが、私が中学生の頃は学校ではそういうのを教えてはくれませんでしたから、スペルと発音の関係はなんとなく経験で覚えていくしかありませんでした。そもそも最初に教わったときには挨拶の”Hi!”を「ヒ」と読むと先生から習ったので、私達の学年は
(ヒッ! ケン)
(ヒッ! クミ)
という間抜けなことになってて、次に赴任してきた大学卒業したての新任の英語の先生が頭を抱えることになりました。
発音は変な癖がつくとなかなか尾を引く問題となりますので、お子さんが英語を学習するときには是非フォニックスを意識して教えてくれるところを選んだほうがいいと思います。また、大人になった皆さんも大丈夫です。今からフォニックスを学ぶことで英語が読みやすくなるでしょう。
フォニックス(Phonics)を学ぶときには、発音も正しくしていきましょう。子どもなら自然と身につける英語の発音も、大人だと相当意識して学ばないと身につきません。フォニックス(Phonics)を学ぶのは発音を学ぶ良い機会になると思います。